産婦人科 エコー検査

産婦人科の選び方・付き合い方【専門家が注目ポイントを解説】

初めての産婦人科受診、怖がらないためのポイント

初めて産婦人科を受診するときは、「どんなことを聞かれるの?」「痛い検査はあるの?」と不安が募りがち。事前に問診や診察の流れを知っておくと心の準備ができ、緊張を和らげることができます。

 

問診では何を聞かれる?

 ・最終月経(最後にあった生理の開始日や終了日)
・月経周期や経血量、痛みの度合い    
 ・既往症やアレルギーの有無
・妊娠の可能性など

 

これらは医師が診断や治療方針を立てるのに必要な情報です。プライベートなことも聞かれますが、より正確な治療を受けるために、できるだけ素直に答え、自分が何に困っているのかを伝えましょう。

 

診察の流れ

 

内診

医師が見たり、実際に触ったりする検査です。必要に応じて、腟鏡(ちつきょう:クスコとも呼ばれる、腟の中を観察するための器具)を使う場合があります。

 

経膣エコー

腟の中に超音波の機械を入れて、子宮や卵巣の状態を確認する検査です。痛みには個人差がありますが、必要最小限で行われることが多いです。

 

血液検査・尿検査

ホルモンバランスや妊娠の有無、感染症などを調べるために行うことがあります。

 

初めての受診時は緊張しやすいですが、医師やスタッフはプライバシーに配慮しながら診療を進めてくれます。わからないことや不安なことは遠慮なく伝えましょう。

 

自分に合った産婦人科を探すコツ

定期的な検診や、生理痛などのトラブルが生じたときには、通いやすい場所の産婦人科を見つけておくと負担が軽くなります。

 

1.ホームページを見るときは、「理念」をチェック

クリニックや病院のホームページにアクセスしたら、院長挨拶やクリニックの理念が書いてあるページをチェックしましょう。患者である女性に対して、どのような治療を提供したいのか、そのクリニックが大切にしている哲学が書かれています。この部分で、医療機関の温度感が伝わってくるはず。分娩先を探しているのなら、産後のケアにおいて母乳育児をどう捉えているのかなど、クリニックの治療や分娩、産後ケアに対する姿勢を見極めて選択することで、少なくとも方針のミスマッチは少なくなるはずです。

 

2.実際に通っている知り合いから紹介してもらう

やはり一番は、実際に通っている友人や周囲の人から、紹介してもらうことです。相性もありますが、実際に通っている人からの情報は頼りになります。職場や自宅からのアクセスも考えつつ、先生の雰囲気など、通院している人に聞いてみて、総合的に判断すると良いでしょう。

 

3.直接問い合わせる

疑問点がある場合は、電話やメールで問い合わせてみてもかまいません。内診や検査が怖いと感じる場合に、どんなサポートをしているか確認してみると安心できます。

 

医師の専門分野・得意分野を知ろう

 

産婦人科 エコー検査
photo:PIXTA

実は、産婦人科と一言でいっても、それぞれ専門領域や得意分野があります。お産に強い、不妊治療に力を入れている、漢方を取り入れている、月経痛や子宮内膜症に詳しい、オペが得意、など、医師によってさまざまな特徴があります。

 

 •生理痛や子宮内膜症、PMS(月経前症候群)などに注力する医院     
•不妊治療や婦人科内視鏡手術が得意な医院    
 •漢方を扱うクリニック など

 

ちなみに、医療従事者が何を基準にかかりつけを選んでいるかというヒントをお伝えすると、「専門性や経歴」です。
 
自分の悩みや症状に合った医師を見つけることで、より専門性の高いケアを受けられる可能性が高まるからです。

 

「専門医」制度とは?

日本では、医師免許取得後に一定の研修や試験を経て認定される「専門医」制度があります。産婦人科の場合は、日本産科婦人科学会が定める「産婦人科専門医」の資格が代表的ですが、専門医は、以下のような条件を満たすことで取得されます。

 

•一定期間の臨床経験     
•学会の定める症例数の経験     
•学術発表や学会参加     
•専門医試験の合格
 

このように基準が設けられているため、各学会の「専門医」として認定された医師は、産婦人科領域の診療において一定の知識と経験があることがわかります。さらに、下記のような領域ごとの専門資格も存在し、それぞれ高度な専門性を担保しています。

 

婦人科腫瘍専門医(日本婦人科腫瘍学会認定)

子宮頸がんや子宮体がん、卵巣がんなどの診断・治療に精通している医師。

 

生殖医療専門医(日本産科婦人科学会認定)

不妊治療や生殖医療(人工授精や体外受精など)に特化した知識と技術を有する医師。

 

女性ヘルスケア専門医(日本女性医学学会認定)

更年期障害やPMS、PMDDなどホルモンバランスの変化に伴う症状に詳しい医師。

 

具体的な得意分野を確認するには?

 

クリニックのホームページをチェック

まずはホームページをチェックしましょう。クリニックのホームページでは、院長先生の経歴や専門性、治療方針などを公開しているところが多いです。    
 

「不妊治療に力を入れています」「保険診療でピルを取り扱っています」「漢方治療にも対応します」など、取り扱い内容を明確に書いてあることもあるので、自分の希望する治療が受けられるか、チェックしてみましょう。

 

crumii登録医から探す(※これ、まだ実走前?であれば取る)

crumiiでは、エリアや医師の専門性から登録医をタグで検索できます。

 

受付さんの態度より、「医師との相性」を優先しよう

産婦人科はデリケートな悩みを相談する場所。医師との相性はもちろん、スタッフの対応やプライバシーへの配慮もかかりつけを選ぶ上で大切なポイントになります。ネット上にある口コミは、待ち時間や受付対応に関することが多く見られますが、受付の方の人柄よりも、自分の悩みを解決できる医療サービスにつながるかどうか、を重視していただきたいです。(もちろん、受付の態度が悪くても良いといっているわけではありませんよ!)

 

スタッフの対応

受付や看護師の対応が丁寧かどうかは実際に受診してみないと難しいですが、問い合わせ対応の際の態度などは、目安になります。

 

プライバシーへの配慮

待合室で名前ではなく診察券番号で呼んでくれる、他の人から声が聞こえにくい場所で問診を行うなど、プライバシーを守る工夫をしているかどうかもチェックしましょう。

 

クリニックの転院は気兼ねなくしてOK

どうも医師との相性がよくない、望んだ治療が受けられなかったなど、違和感を感じたら、気兼ねなくクリニックを変えましょう。引っ越しの際などは紹介状を書いてもらうと転院がスムーズですが、なくても受け入れてもらえます。ただ、大きい病院は紹介状がないと予約が取れなかったり、初診の場合に費用を請求されることがありますので、確認しておきましょう。現在は、マイナンバーなどで病院間の投薬情報の共有も可能になっていますので、スムーズに連携できる病院も増えています。
 

 

「医師を変える」ことへの罪悪感は不要

治療方針に納得がいかない、不安が解消されないときは、遠慮なくほかの医療機関を受診しましょう。プライベートな相談をすることになるかかりつけ医。トライ&エラーをしてみても大丈夫。自分により合った治療方法が見つかることがあります。

 

受診前に準備しておきたいこと

スムーズに診察を受けるためには、次のような情報をまとめておくと便利です。

 

生理周期のメモやカレンダー

アプリや手帳などで、前回の生理が始まった日と終わった日を記録しておくと、医師が適切な診断を行いやすくなります。(アプリなどでもOK)

 

症状の強さ

痛みによって日常生活がどの程度制限されるか(例えば、学校や仕事を休まないといけないレベルかどうか)を記録しておきましょう。

 

生活習慣・既往症の整理

食事や睡眠、運動量、ストレスの有無などは、生理痛やその他のトラブルに影響を与えることがあります。また、過去にかかった病気や手術歴、服用中の薬があればお薬手帳などとともにまとめておくとスムーズです。    
 

こうした情報を整理しておくと、問診の際に伝えやすく、医師側も適切なアドバイスや治療法を提案しやすくなります。

 

 

 

生理痛がつらいときや、婦人科系の悩みを抱えているときは、我慢せずに専門家の力を借りることをおすすめしたいです。産婦人科を正しく選び、上手に付き合うことで、不安を軽減し、よりよい治療やケアにつなげましょう。もし不安や疑問があれば、複数の医療機関や専門家に相談するのも一つの方法です。    
 

あなた自身の心と体が安心できる選択を大切にしてください。

宋美玄 産婦人科医 crumii編集長

この記事の監修医師

院長

宋美玄先生

産婦人科

丸の内の森レディースクリニック院長、ウィメンズヘルスリテラシー協会代表理事産婦人科専門医。臨床の現場に身を置きながら情報番組でコメンテーターをつとめるなど数々のメディアにも出演し、セックスや月経など女性のヘルスケアに関する情報発信を行う。著書に『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』など多数。

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