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crumii編集長・宋美玄のニュースピックアップ #02

石破首相が「子育て中の女性のスキルアップを後押し」報道、受け止め方に差が出た理由

「子育て支援が先では?」「男性の育児参加こそ必要なのでは?」と批判的な意見

2025年4月13日、石破首相は神戸市で女性起業家や企業担当者らと意見交換を行い、「子育て中の女性のスキルアップを後押しするため、必要な施策を検討していく」と発言しました。

 

地方創生の文脈の中で、女性が子育てと仕事を両立しやすくなるよう、柔軟な働き方や支援体制の整備を進める必要性にも言及しています。
 
この発言を報じたニュースは、「子育て中の女性のスキルアップ後押し “必要な施策検討” 首相」という見出しで配信されました。

 

SNSなどではこの表現に対し、「子育て支援が先では?」「男性の育児参加こそ必要なのでは?」といった批判的な意見が多く見られました。

 

子育てと仕事の両立だけでも「無理ゲー」なのに…これ以上頑張れというのか

個人的には、報道からは「もっと働きたい」「活躍したい」と思っている女性が、よりフレキシブルに、多様なライフスタイルを実現し、収入を上げたり自己実現したりすることを、国として後押ししていこうという意図だと受け取りました。だから、ここまで批判されているのを見ると、少し気の毒にも感じました。しかし、「子育て中にスキルアップ」という言葉にネガティブな印象を抱いたのも事実です。おそらく、多くのワーキングマザーもそうだったのではないでしょうか。
 
私自身13年以上子育てをしてきて、子育てと仕事の両立が「無理ゲー」であることはよくわかります。きっと多くのワーキングマザーが、子どもの世話と教育、情緒面のケア、家事、仕事、そして発熱や病気などの突発的な事態への対応に、自分のリソースを120%使いながら日々をなんとか乗り越えています。睡眠時間を削り、自分自身のケアはいつも一番後回し。それでも、家庭では家事育児の主たる担い手であることが当たり前だと思われ、職場では長時間勤務ができないことで肩身の狭い思いをし、正当に評価されていないと感じている人も多いのではないでしょうか。

 

そのため、「子育て中にスキルアップ」という言葉は、多くのワーキングマザーにとって、「これ以上頑張れというのか」と響いてしまったのだと思います。
 

スキルアップの後押しと同じくらい、まずは負担の軽減にも目を向けてほしい

とはいえ、実際のところ、子育てと仕事の日々のタスクに明け暮れる中で、スキルを忘れてしまったり、キャリアが停滞してしまったりして、悔しい思いをしている人がいるのも事実ではないでしょうか。

 

だからこそ、子育ての負担を軽減し、無理なくスキルアップできるような施策は必要だと感じます。

 

ワーキングマザー 子ども 
photo:PIXTA

 

具体的な内容に期待したいところですが、これまでの少子化対策を振り返ると、「三年抱っこし放題(育休三年)」や「三世代同居に補助金」など、個人的には当事者のニーズとずれているなと感じる政策が打ち出されてきた過去もあります。

 

今回こそは、現場で求められているものを、当事者の声を聞きながら丁寧に拾い上げて、施策に反映してほしいと思います。

 

改めて、今回のニュースからは、多くのワーキングマザーが、もうこれ以上頑張れないくらいに精一杯頑張っているという現状が、図らずも浮かび上がってきました。

 

スキルアップの後押しと同じくらい、まずは負担の軽減にも目を向けてほしいと感じます。

 

そして、男性の当事者意識と家事育児のスキルをアップする施策もお願いしたいです。(ぜひ政治家の先生方からお願いします!)

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