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妊娠中のDo & don't #02

妊娠中に「本当に避けたほうがいい5つの食品」と、その理由を徹底解説

妊娠すると、周囲から特定の食品を摂取しないほうがいいとアドバイスをされるのはよくあること。でも、本当かどうかわからなくて迷いますね。そこで、本当に避けたほうがいい食品だけをお教えします!

 

感染や食中毒リスクを回避して

妊娠中の食事については諸説ありますが、本当に「食べてはいけないもの」はさほど多くなく、主に感染や食中毒などのリスクのあるものです。以下の食品に気をつけましょう。

 

1.生肉や生ハム、無殺菌のチーズや牛乳など

十分に加熱されていない肉類、無殺菌の乳製品などの食品は、病原性原虫である「トキソプラズマ」、細菌の一種である「リステリア」に感染するリスクがあるので避けましょう。また妊娠中に限らず、生肉などを取り扱った包丁やまな板はしっかり殺菌することが大切です。

 

なお、妊娠中に初めてトキソプラズマに感染した場合、流産や死産だけでなく、胎児の脳や目などに障害が起こる『先天性トキソプラズマ症』になるリスクがあります。また、リステリアに感染した場合も、流産や早産、胎児が髄膜炎になる恐れがあるのです。

 

感染予防については、先天性トキソプラズマ&サイトメガロウイルス感染症の患者会である「トーチの会」のサイトも参考にしてください。

 

2.生牡蠣など

ノロウィルス感染症のリスクが高い生牡蠣なども控えたほうが無難です。火を通して食べるだけで消化にもよくなり、食中毒のリスクも抑えられます。

 

3.手作りの野菜ジュースや発酵食品など

病原性原虫や細菌は土の中にも多く存在し、生野菜のサラダやジュースに混入しやすいので注意が必要です。野菜を大量に摂取する場合は、よく洗うことはもちろん、しっかり加熱したほうが安心。また手作りの発酵食品も病原性原虫や細菌などが混入しやすく、保存中に繁殖するリスクが高いので避けたほうが無難といえます。以前、素手で混ぜて作る発酵ドリンクが話題になりましたが、雑菌が繁殖しやすく大変危険です。

 

4.ビタミンAやヒトプラセンタのサプリメント

ビタミンAは皮膚や粘膜、目の健康を維持するために必要な成分ですが、脂溶性なので体内に蓄積されます。妊娠初期にサプリメントなどで過剰摂取すると、赤ちゃんに奇形が起こるリスクがあるので、食品から摂るようにしましょう。また、人の胎盤を材料に作られているヒトプラセンタも、妊娠中は避けたほうが無難です。

 

5.適量以上のマグロ、クジラ、キンメダイなどの大型魚

小型および中型の魚を食べる大型魚には水銀が多く含まれるため、妊娠中は胎児への影響が懸念されます。ですから、絶対に食べてはいけないということではなく、摂取量に気をつけて食べましょう。厚生労働省が公開している「お魚について知っておいてほしいこと」というPDF を見れば摂取量の目安がわかるので、ぜひ参考にしてください。

 

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厚生労働省「お魚について知っておいてほしいこと」より

 

 

この他、よく「冷たいものはダメ」「陰性の食品は避けるべき」「白砂糖はよくない」「辛いものはよくない」などという説がありますが、特に根拠のない迷信ですから気にする必要はありません。冷たいものはおなかを壊さない程度であれば問題なく、陰性・陽性の食品という分類には科学的根拠がありません。また、白砂糖は悪いものではありませんし、辛いものがダメだったら香辛料をよく使う国の人は困ってしまいます。

 

さらに「妊娠中に特定の食品をとると子どもがアレルギーになる」という説もまことしやかに広まっていますが、全く関係ありませんから安心してください。特に代表的なアレルゲンである牛乳、卵、小麦粉が悪者にされることが多いようですが、大事な栄養源ですから、お母さん本人にアレルギーがない限り避けないようにしましょう。

 

当然のことですが、普段でも妊娠中でもバランスのよい食事をとるのが理想なのは変わりません。でも、できる範囲で大丈夫。そんなことよりも体重の増えすぎには少し注意しつつ、好きなものを食べて元気に過ごしてくださいね。

 

 

大西まお

編集者、ライター。出版社にて雑誌・PR誌・書籍の編集をしたのち、独立。現在は、WEB記事のライティングおよび編集、書籍の編集をしている。主な編集担当書は、宋美玄著『産婦人科医ママの妊娠・出産パーフェクトBOOK』、森戸やすみ著『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』、名取宏著『「ニセ医学」に騙されないために』など。特に子育て、教育、医療、エッセイなどの分野に関心がある。

宋美玄 産婦人科医 crumii編集長

この記事の監修医師

院長

宋美玄先生

産婦人科

丸の内の森レディースクリニック院長、ウィメンズヘルスリテラシー協会代表理事産婦人科専門医。臨床の現場に身を置きながら情報番組でコメンテーターをつとめるなど数々のメディアにも出演し、セックスや月経など女性のヘルスケアに関する情報発信を行う。著書に『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』など多数。

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