赤ちゃん ワクチン接種 注射

crumii編集長・宋美玄のニュースピックアップ #03

百日咳、流行っています。赤ちゃんをお迎えする人は特にワクチン接種検討を

百日咳予防の第一歩は、生後2か月を迎えたら速やかに5種混合ワクチンを接種すること

 

百日咳は、激しいせきが長期間続く細菌性の感染症です。特に生後6か月以下の乳児が感染すると重症化し、命に関わることもあります。ここ最近まで流行は下火でしたが、2025413日までの1週間に全国の医療機関から報告された百日咳の患者数は1222人に上り、3週連続で過去最多を更新していると報道されました。

 

【百日せき患者数 4月13日までの1週間1222人 3週連続で過去最多】(NHK WEB)

 

新型コロナの影響で、一時的に百日咳の患者数は減少していましたが、2024年以降、再び増加傾向にあります。日本小児科学会の声明によると、マクロライド系抗生物質が効きにくい「耐性菌」が増加している点も憂慮されているとのことです。

 

百日咳にはワクチンがあります。5種混合・4種混合ワクチンなどに含まれており、日本では生後2か月から定期接種が始まります。基本は計4回の接種ですが、それ以降の追加接種は制度化されていないため、学童期以降に再感染するケースも見られます。

 

予防の第一歩は、生後2か月を迎えたら速やかに5種混合ワクチンを接種することです。また、就学前や思春期のタイミングで追加接種(3種混合ワクチン)を検討することも重要です。日本小児科学会の声明でも、任意接種にはなりますが、就学前や1112歳での追加接種を推奨しています。

 

妊娠中に母体にワクチンを接種することで、抗体が赤ちゃんに移行し、「母子免疫」としての役割も果たす

 

インフルエンザやコロナ、RSウイルスなどと同様に、妊娠中に母体にワクチンを接種することで、抗体が赤ちゃんに移行し、「母子免疫」としての役割も果たします。

 

実は、昨年のアブリスボ(RSウイルスの母子免疫ワクチン)発売時、私のクリニックでも百日咳ワクチンの導入を検討していました。しかし当時は、妊婦に接種している医療機関がほとんどありませんでした。百日咳ワクチンは母子免疫ワクチンとしての承認されているわけではありません。また、インフルエンザやコロナのワクチンのように大人に接種することが一般的でなかったこともあり、需要が見えず当時は導入を見送りました。学会の推奨やガイドラインもありませんでした。

 

妊婦 医師 病院 受診
photo:PIXTA

 

しかし今回、感染者数が急増し、妊娠後期のワクチン接種の必要性が高まったことを受け、導入に踏み切ることになりました。できることなら、学会からの明確な推奨や、公費助成の導入も検討いただきたいと願っています。

 

残念ながら、今回の流行では乳児の死亡例も報告されています。妊婦さんや小さなお子さんを持つご家族に向けて、百日咳のワクチン接種の重要性を、今後は積極的に啓発していきたいと思います。

 

【参考文献】

「百日咳患者数の増加およびマクロライド耐性株の分離頻度増加について」日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会

 

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